信じた先に、真実を
~再婚を夢見た女性が掴んだ一筋の光~
「この人と再婚するつもりだったんです」
彼女はそう言って、スマホの画面を差し出した。
そこには、優しい笑顔の男と交わした甘いメッセージの数々。
「来月には一緒に暮らそう」「君のために会社を整理するよ」
40代の彼女は、数年前に夫を亡くし、心の空白を埋めるようにマッチングアプリで彼に出会ったという。
毎月10万円ずつ、彼の「事業整理費」名目で送金をしていた。
「おかしいとは思った。でも、信じたかったんです」
その気持ちに応えるように、私たちは動いた。
調査開始から5日。男の住所はデタラメ、勤務先も実在せず、
婚約者は彼女ひとりではなかった。
少なくとも、同様の被害女性が3人確認された。
「──これは詐欺です」
証拠を突きつけたとき、彼女は一度だけ崩れるように泣いた。
けれど、次の瞬間、彼女は顔を上げた。
「……止めてくれて、ありがとうございます。
これ以上、壊れる前でよかった」
弁護士と連携し、彼女は詐欺被害として警察に告発。
口座凍結の処理が進み、被害金の一部は返還される見通しとなった。
数週間後、彼女は一通の手紙を私にくれた。
「また信じられる自分になりたい。
そのスタートラインに立たせてくれて、ありがとう」
探偵の仕事に、派手な脚光はない。
だがこうして誰かの“人生の再起”に立ち会えるたび、私は思う。
真実は、ときに残酷だ。
でも、それに背を向けたままでは、生き直すことはできない。
そして、誰かがその真実をそっと灯すことで、
人はもう一度、自分を信じ直せる。
俺たちは、その灯を届けるためにいる。
今日もまた、誰かの未来に、光を。